心臓ドック
三大疾病の1つである心臓疾患のうち、狭心症や心筋梗塞といった虚血性心疾患は、発症後すぐ死に至ることが多い大変リスクが高い病気です。社会では救急車内で救急隊が行う心肺蘇生の向上、一般市民への心配停止患者に対する蘇生法の普及、AEDの設置など、急性心筋梗塞で倒れた場合の対処が盛んに行われるようになってきました。しかし、急性心筋梗塞を発症する前に、病気を早期発見することが最も有効な突然死の予防になります。
予防医療に注力している宝塚病院では、平成14年(2002)より「心臓ドック」を開始。このドックでは、心臓や冠動脈の状態を把握できる心臓CTスキャンや、心エコー、胸部X線検査等を中心に検査を行います。宿泊の必要はなく、日帰りで受けていただけます。
医師メッセージ
多くの突然死の原因である急性心筋梗塞を事前の段階で診断できれば、適切な治療を行って突然死を防ぐことができ、これが一番の理想と言えます。ただし、狭心症には症状のない人(サイレント)も多く、危険因子の多い人(喫煙、糖尿病、高血圧症、高脂血症、肥満症)に注意を呼びかける以外に予防の手だてがありませんでしたが、この「心臓ドック」により早期発見、さらには事前治療の可能性が高まります。
心臓ドック体験談
ラジオパーソナリティ 馬場章夫さん
2012年に宝塚病院の心臓ドッグを取材体験しました。それまでは病院が苦手で、「自分は健康だ」とずっと思っていたので、心臓ドッグもどこか他人事ではありました。しかし実際に受けてみると、「冠動脈の石灰化」「大動脈弁狭窄症」「高血圧症」「甲状腺の腫れ(良性)」など目に見えなかった診断結果が出て驚いたのど同時に、馬殿院長より「このまま放っておけば、いずれ突然死になっていた可能性がありましたよ」と話をうかがい背筋が凍りました。それからしばらく宝塚病院に通院し、現在は健康になりました。自分のため家族のためにも健康を過信せず、予防を心がけることが大切ですね。
最新型CT機器を導入
宝塚病院では、平成28(2016)年度より。わずか0.28秒の撮影時間の最新型心臓CTスキャン「2管球CT SOMATOM Definition Flash」を導入しています。
このCT機器はX線管球を2つ搭載し、従来の1管球に比べて2倍以上の速さで撮影を行うことができ(433mm/秒)、心臓撮影はわずか0.28秒で撮影が可能です。また、従来の心臓CT検査には心臓の拍動や血圧上昇を抑えるβブロッカーなどの薬剤投与が必要でしたが、2管球CTは高い時間分解機能を誇り、薬剤投与の負担を軽減できるだけでなく、息止めができない人や、状態のすぐれない人も負担の少ない検査を受けていただけます。さらに画像化する箇所以外へのX線照射をブロックするなどの機能も備えており、被ばく量は従来の60%まで低減できます。
最新型CT機器を使用した心臓CT検査の特長
- わずか0.28秒の撮影時間
- 被ばく低減60%
- 心臓突然死の主な原因の心筋梗塞や不整脈など、自覚症状のない心臓病の予兆を発見することが可能
- MRIでは観察できない箇所の認識が可能
- 入院の必要がなく、外来での検査が可能

医師メッセージ
心臓ドックで使用するのはこの最新型CT機器です。CT撮影でかくれた病気が一目でわかるため、心臓はもちろん、その他のリスク発見の可能性も高まります。
心臓病セルフチェック
- 階段や坂道で胸が痛くなったことがある
- 急いで歩いたときに、胸が押さえつけられた感覚がある
- 毎朝、坂道を歩くときだけ胸が痛い
- 早朝(6時頃)、寝ているときに突然、胸がしめつけられる感じがして、痛くなったことがある
- 最近、運動したり、坂道を歩いたりすると、今までにない息苦しさを感じる
- 最近、以前と同じ運動なのに心臓がドキドキする
- 肩こりや、みぞおちの痛みが10分間くらい続いて、すぐに治ったことがある
- 暖かい所から急に寒い所へ移動して、胸が苦しくなったことがある
- 電車やバスに乗り遅れそうになって急に走ったら胸が苦しくなったが、しばらくしたら治った
- 日常生活で胸が痛くなることが、月に一回程度ある
- 胸が痛くなって汗をかいたが、しばらくして治った
- ふき掃除や布団の上げ下ろし等、うつむいたり起き上がったりして動いたとき、胸が痛くなった
- 胸の痛みとともに肩、腕、下あごにだるさ、痛みを感じる
- 階段を一階分、あるいは100m程度を歩いたとき、痛みを感じる
- 最近、胸の痛みの回数が増したり、痛む時間が長くなったり、痛みの程度が強くなった
特に、このような人は要注意です。
- 高血圧
- 糖尿病
- 喫煙者
- コレステロールが高い
- 家族に心筋梗塞の人がいる
日常生活の中で小さなサインに気づくことができれば、命を守ることに繋がります。1つでも当てはまる方は心臓に負荷がかかっている可能性があります。心臓ドックを受診し、定期的に心臓の状態をチェックすることをおすすめします。