VOL.16 (平成18年7月25日発行)

●ターミナルを在宅で、介護保険で
 癌の患者さんは一般病院では急性期として扱い、退院しても1ヶ月以上経過しておれば新規入院となります。癌を含めたターミナル(終末期)の方が一般病床に入院するのは普通の事ですが、 治るわけではないのに高価な制癌剤使用が多いと厚労省は言います。財務省厚生労働局はお金の事ばかりを言います。財源不足は十分わかっていますがちょっと気になります。
 さて,北欧では『自分で食べ,自分で飲み,自分で呼吸すること』が生きていることと考えている方が多い様です。日本でも10数年前までは,患者さんの死は医療の敗北であり1分でも生命を 永らえようと考えていましたが,最近ではこの考え方も大きく変わってきました。回復の可能性が殆んどなく,あと数日の命となった患者さんの家族から『自然の経過で』 『延命は望みません』『積極的治療は不要です』と言われることが多くなり、気管挿管,人工呼吸器,心マッサージは少なくなってきました。
 介護保険は,それまで家庭内対応だった介護を、少子化等により地域社会で支えるために創設されました。しかし住みなれた町,家で生き過すとされていますが今の病診, 介護ネットワークではシームレスどころかつぎはぎで間に合わないと思えます。

家庭でのターミナル
 昨夏,知人(女性)の84才の母親が食道癌で手術のしようもないらしく、CTを見てほしいと我が家に来ましたが,癌はすでに縦隔に及び肺門に達し、気管だけは保たれ、食道はやっと液体が通過するくらいでした。親娘二人暮らしで自宅で母の面倒を看る事にしたそうです。『余り頑張らないように』と娘さんに申していましたが,正月前,朝起きたら母親は動かなくなっていたと泣くでもなく報告がありました。週一回の往診と訪問看護を受け、点滴より生活、食事指導が主でしたがデュロテップパッチは使用していたとの事でした。現実にはこれは稀なことです……国は64才以下の第2号被保険者(特定疾患)に癌を加えました。
●ターミナルは急性期か
 老化は病気ではありませんが人は必ず死にます。死ぬ前に長い短いはありますがターミナル(終末期)がある事が多い様です。殊に数ヶ月以上のターミナルの扱いが問題となります。 昨年末「社会保障審議会介護給付部会」審査報告は
1.特養は利用形態を多様化し,ターミナルケア等も評価する
2.老健は在宅支援の強化
3.介護療養は2011年度末までに,在宅復帰,在宅支援,生活重視の施設への移行を図る
とされ介護施設は特養と老健だけになり、入所者もターミナルや在宅をとしています。

●まとめ
 狙いは介護療養の14万床と医療療養の24万床にいる社会的入院だと考えます。
 
医療療養病床は包括となり2011年度末に医療保険に一本化。 何はともあれターミナルは大きく変りますが、お金だけではなく人の道,医の倫理に適う制度であってほしいものです。
院長  馬殿芳郎
医療法人回生会宝塚病院
 [理念]
 1.心がかよう、患者さんに信頼される病院

 2.調和・進歩・向上

 3.地域社会への奉仕
 [基本方針]
1. 奉仕の精神を持ち、常に患者さんの立場に立った医療を行います。
2. 説明と合意に基づいた納得ゆく医療を行います。
3. 医療人として生涯学習に努め、医療の質の向上を目指します。
4. 地域の皆様の健康、保健のため開かれた病院を目指します。


胃癌や胃・十二指腸潰瘍は感染症?
大草 世雄
(消化器科)
 ヘリコバクター・ピロリーという菌を御存知ですか。最近は知名度が上がり、御存知のかたもおられると思いますが、胃の中に住む細菌の名前です。胃の中は強い酸性で菌は住めないと以前は 考えられていましたが、1983年にオーストラリアで初めてこの菌が発見されました。その後の調査で、日本人は約6000万人の感染者がいると推定されています。特に、40歳以上ではなんと70〜80%の 人がこの菌に感染していることが分かっています(図1)。
 ヘリコバクター・ピロリー菌(以下、ピロリー菌と略)は胃や十二指腸に炎症を起こします。炎症をおこした胃には潰瘍ができたり、粘膜が傷害され萎縮を起こします。 それだけではなく、ピロリー菌が感染した胃粘膜から癌が発生する可能性も指摘されているのです。
 従来、胃・十二指腸潰瘍は食生活の乱れやストレスが原因といわれてきましたが、ピロリー菌が感染して起こっていることが多いのです(図2)。 良い薬が開発さていますので、ほとんどの潰瘍は治ります。治ったけど薬を止めるとすぐに再発してくる。これが困った問題でした。ところが、潰瘍が治った後にピロリー菌を退治すると 再発する人は激減しました(図3)。
 さすがに出来てしまった胃癌はピロリー菌を退治しても治りませんが、ある種の胃の腫瘍は除菌することで治ります。以前は手術を必要としていた病気もピロリー菌を退治することで 治ることがあるのです。
 ピロリー菌が胃の中に住んでいるかどうかを検査する方法は、いくつかあります。内視鏡をして組織を2ヶ所摘みとりそれを調べる方法。あるいは薬を飲んでから息を吐くだけで分かる検査も あります。血液検査や尿や便の検査でも分かります。状況に応じて、いくつかの検査を組み合わせて行なうのが良いでしょう。
 もし、あなたの胃からピロリー菌が発見されたらどうしますか。安心してください、良い治療法があります。3種類の薬を1週間内服するだけです。それで約80%の人が除菌に成功します。 ただ、除菌した後で再感染することもあるので注意は必要です。
 ピロリー菌の発見以降、従来信じられていた胃の病気の概念が根底から変わりました。でも、ピロリー菌感染者のすべてが潰瘍や癌になるわけではありません。ピロリー菌もいろいろな性格を 持った種類があるのかもしれません。たとえば、口から進入した多くの菌は腸内細菌として体内で大切な働きをしていますが、ある種のピロリー菌は何らかの恩恵を人に与えているかもしれません。 ただ、それはまだ明らかにはなっていません。だから、ピロリー菌を保有されているかた全員が除菌の対象となるわけではないのです。悪さをする菌だけ除菌する。その判断が必要です。  胃に不快感があるかた、潰瘍を繰り返すかたはピロリー菌に感染しているかもしれません。ぜひ御相談に来てください。


お酢の話?
金南 ちあき
(管理栄養士)
  だんだん暑くなってきましたが、食欲はいかがでしょうか?
夏バテで食欲が無い時は、お酢をいつもの料理に加えてみてはいかがでしょうか?さっぱりとした酢の物や甘酢味のものなら、おいしくいただけるかも知れません。
お酢の効果として、食欲増進や疲労回復効果が期待できると言われています。また、塩分の摂りすぎに気をつけておられる方にもぴったりです。
「薄味の料理は味気なくて、食べにくい・・・」そんな時はお酢を加えると味がひきしまります。塩やしょうゆの分量を減らして、お酢を加えると減塩効果も期待できます。
 他には、血液をサラサラにする働きもあります。血液がドロドロになってしまう原因は様々ですが、 食事や喫煙をはじめとする生活習慣と関係があります。お酢の成分であるクエン酸や酢酸の働きで血液サラサラで病気を未然に防ぎましょう。 今回は調味料としてのお酢の効果をいくつか書いてみました。お酢の含まれているジュースなどは、あくまでも嗜好品となり糖分も多く含まれているものがありますので、 たくさん摂れば肥満をはじめ様々な病気の原因にもなる場合があります。

当院の治療空間の設備をご紹介
核医学検査
 昨年12月に核医学検査装置(RI装置)が新しくなりました。新しくなったRI装置では、心臓検査専用のコリメータ(*1)導入され これまで20分程度かかっていた検査が10分程度で終了します。また、心電同期(*2)を併用する事により心筋の壁運動の整・不整がわかり、 その他に心室の拡張末期容積・収縮末期容積により躯出率が得られ心筋血流と心機能・壁運動が同時に評価できます。
 (*1)コリメータ・・・多数の孔を有する鉛製の平板で特定の方向からのガンマ線のみ通過させ、多方向からのガンマ線を取り除くよう検出器に指向性を持たせたもの。
 (*2)心電同期・・・心筋イメージングからその経時的変化を観察する際、心電図のR波を基準として同期(ゲート)を行いSPECT収集して左心室の容積関係を評価する方法
[患者の権利]
患者様の人権を尊重し、患者様と病院・職員との相互の信頼関係に基づいた医療を共同して作りあげていくために、当院は「患者さんの権利と責務」を定めています。
1. ご自分の病気や診療のことで疑問があれば、どのようなことでも質問する権利があります。
2. 検査や治療を受けるときには、よく理解できる言葉で説明を受け、自らの意志でそれを選択・決定する権利があります。
3. 診療の過程で得られた個人情報やプライバシーは、守られる権利があります。
4. 良質な医療の提供を受けるため、患者様はご自分の健康に関する情報について、医師をはじめとする病院職員にできる限り正確に提供する責務があります。