VOL.18 (平成19年7月31日発行)

はじめに
 本年4月頃より医療の構造改革に対する厚労省案が出され話題となっています。
 高齢化社会にふさわしい医療を実現するために、かかりつけ医を核として地域の複数の開業医をチーム化し、患者を交代で診療して24時間の在宅医療実現を柱としています。 都道府県単位でスタートし、医療費適正化5か年計画を通じ具体化を目指す方針です。
 チームの中核となるのが"在宅主治医"と呼ばれるかかりつけ医で近隣の複数の開業医と連携し、患者の情報を共有し、自分が休日であっても別医師が患者を診察できるようにし、主治医は地域の病院とも連携をとり、患者急変時の入院にも備えるほか、ケアマネジャーとも連携し、介護サービスにも総合的に対応する(平成19年4月18日読売新聞)。
 5月末の現在、総合医「総合診療科」の案が標榜科目の整理(胃腸科、循環器科、心療内科、肛門科・・・等)と共に示されました。

今後の連携
 大病院は症状の軽い一般外来は受け付けず、原則として入院と専門外来のみに対応するとしていますが、病院勤務医は約16万4000人、週平均63時間勤務の慢性的長時間勤務に次第に耐えられなくなり退職者が続出し、開業ラッシュになっています。 中小病院や民間病院は大病院と診療所の継ぎとなり地域の必要な医療をする事になりますが格差は大です。
 一方、開業医は9万3000人で増加傾向にあり、24時間の在宅医療が機能すれば大病院へかかる患者が減り勤務医への負担も減るであろうと国は考えています。
 日本では人口1000人当り医師数は2.0人、OECD加盟国平均は3.1人と医師不足は以前から分かっていた事です。
今後の方向
 国は4疾患・5事業を医療計画の重点としています。
4疾患 a.がん
     b.脳卒中
     c.急性心筋梗塞
     d.糖尿病
      地域医療支援病院を核として系列化
5事業 a.救急医療
     b.災害時医療
     c.へき地医療
     d.周産期医療
     e.小児医療
      不採算でも必要な医療

まとめ

 日本の医療が根こそぎ変えられようとしており、地域の優良病院として知られた高浜市立病院(130床)は医師引き揚げのため、医師充足率36%(常勤医4名)で存亡の苦境に立たされています。一旦崩れた医療体制はたやすく元にはもどりません。
 全てを決めるのは国民の筈ですが、リハビリ問題でも明らかな様に効率や医療財政だけで片付くものではない事は周知の事と考えるのですが。
院長  馬殿芳郎
医療法人回生会宝塚病院
 [理念]
 1.心がかよう、患者さんに信頼される病院

 2.調和・進歩・向上

 3.地域社会への奉仕
 [基本方針]
1. 奉仕の精神を持ち、常に患者さんの立場に立った医療を行います。
2. 説明と合意に基づいた納得ゆく医療を行います。
3. 医療人として生涯学習に努め、医療の質の向上を目指します。
4. 地域の皆様の健康、保健のため開かれた病院を目指します。


心血管病予防八策
-新しい時代を迎える前にたいせつなこと-
畑田 憲吾
(循環器内科)
 心筋梗塞や脳梗塞などの動脈硬化性心血管病は、近年増加傾向なうえ若年発症化が懸念されています。多くは昼夜を問わず突然に発症し、平穏な日常生活だけでなく、 ときには大切な生命をも奪いかねないという点で深刻です。これらの発症には、「生活習慣病」と称される高血圧、糖・脂質代謝異常や肥満(いわゆるメタボリック症候群)のほか喫煙などの 「危険因子」が関係しているといわれています。ある日突然の悲しい出来事や後遺症に伴う個人的・社会的負担の増大を防止するために、自身における予防策(体質改善策)ならびに、 医療においてなされるしごとについてまとめてみました。

一、減塩・低脂肪食
 食材本来の旨みをたのしむ 腹八分目
近年の欧米式の食事は肉食中心で高カロリー、高コレステロールに加え、野菜や根菜類が不足しがちな点が特徴です。さらに食塩過多や化学調味料の普及は、過食をきたす一因と考えられます。 動脈硬化を予防する食事のキーワードは、「減塩、魚、野菜(根菜)、大豆製品」です。米飯を中心に、様々な食材を上手に楽しみながら、心血管病が予防できたなら、 すばらしいことといえます。

一、運動と読書習慣
適切な運動により体重や平均血圧が減少すること、また脂質・糖代謝は改善し、心血管病の予防に寄与することが明らかされています。散歩、ジョギング、自転車、水泳、ダンスなどの 有酸素運動が推奨されていますが、無理なく楽しみながら続けることが大切です。一方、読書を通じては、ひとりの人生経験だけでは遭遇し得ない様々な事象やメッセージに触れることが できます。寛く豊かな心の持ちようができれば、疾患予防にとってプラスとなることが期待されます。

一、標準体重の維持を目指す
健康的な生活を続けることができ死亡率や疾患罹患率が低いとされる理想的な体重を標準体重と称し、「[身長(m)]2×22」で概算されます。 最近ではメタボリック症候群の原因である内蔵蓄積脂肪型肥満症を視覚的に診断するため、腹囲測定やCT画像による評価が保険診療に加えられつつあります。

一、笑いと思いやり
笑う動作は元来、口から入った有害なものを吐き出そうとする動作から起こったと考えられています。『ウフフッ』もよいですが『ハッハッハッ』がなおよいようです。 心からの笑いにより、脳の血液循環が良くなり血圧や心拍も安定するといわれています。人を和ませ、惹きつける不思議な力もあるそうです。現代はさまざまな面で競争社会への転換が 進行しつつあります。他者に勝ることを目指すのは向上心を研磨し人格形成をより高めるという点で大切ですが、人と人とのレベルにおいては徳を積み他者を思いやる懐深さも 重要ではないでしょうか。
一、禁煙 家族のために
タバコの煙に含まれる有害物質により、動脈壁の炎症(動脈硬化)や血管収縮、血栓形成が惹起され、血管内腔に狭窄や閉塞が起こりやすくなります。 これらは正に、現在報告されている心筋梗塞や多くの脳梗塞の発症病態そのものです。心血管病罹患後の死亡率は、喫煙者において非喫煙者に比し有意に高く、さらに喫煙者の死亡率は、 罹患前の本数に比例して確実に高くなることが示されています。万が一の際に、ご家族を路頭に迷わせないためにも、禁煙はとても重要と考えられます。

一、心血管病リスクについて 定期点検
【体重 血圧 心電図 血中脂質(コレステロール)値 血糖値(空腹時と食後)】 40歳を過ぎたら年に1回、職場検診や地域自治体検診を受けることが大切です。 さらに男性では40歳を過ぎて、女性では50歳を過ぎて生活習慣病の危険因子(高血圧、高脂血症、糖尿病、喫煙、肥満など)が2つ以上あれば、専門科で心血管病の検査(後述)を受け、 適切な予防を心がけましょう。

一、画像診断による、個々のリスク層別化
当院では以下のような循環器画像診断機器を駆使し、最良の治療法選択に努めています。
◎心臓超音波検査(心エコー図):動的な心ポンプ機能や弁機能を評価
◎トレッドミル負荷心電図検査:運動能力評価や心筋虚血(一過性の心筋血流低下状態)の存在診断
◎負荷時/安静時心筋シンチグラフィ(心臓RI検査):心筋虚血の広がりや程度を視覚的に評価 
◎3次元マルチスライスCT:造影剤を用いて心臓や冠状動脈(心筋を栄養する血管)を立体的に描出
これらは体に対する負担が少なく、外来通院のまま受けていただくことが可能です。

一、リスク群に対し、積極的な治療介入
「危険因子」を有する方々には薬物治療や体質改善策が推奨され、慎重な経過観察を要します。画像検査で異常が指摘された例では、入院のうえ造影剤とカテーテル(細い管)を用いた 心血管造影法を行い、精査を行っています。冠状動脈の開存性は、個々の生存率(寿命)に関与するといわれています。狭窄や閉塞をきたした冠状動脈に対しては、 薬物治療に加え血行再建治療(カテーテル治療やバイパス手術など)の適応が検討されます。急性心筋梗塞を発症された際には、速やかに腕の血管から経カテーテル式冠動脈再灌流治療 (バルーン・ステントによる血管拡張術)を行い、心筋壊死の阻止と生命予後の改善に努めています。当院も基幹医療施設として日夜専門のスタッフが対応しています。



20世紀は「診断・治療の進歩と病態解明の時代」、21世紀は「予防医学の時代」といわれています。疾患を予知し治療する先進的な手段として、一部ではDNAなどの遺伝子解析技術が 導入されつつありますが、臨床での汎用化にはまだしばらく時間がかかりそうです。
「予防に勝る治療は無い。」この点を念頭に、新しい時代に参加していただけることを願っています。

ひょうごでとれる農産物
金南 ちあき
(管理栄養士)
 今回は「ひょうごでとれる農産物」についての話です。
これからの季節、地元ひょうごでとれる農産物としてピーマン(三田の特産品)はビタミンCやカロテンが豊富に含まれています。桃やいちじくは川西の特産品として知られています。 生のまま食べても美味しいですが、ジャムなどお菓子作りにも使えます。
 そして秋になると稲刈りが各地で行われます。また、栗の美味しい季節です。北摂地域では「銀寄(ぎんよせ)」という大きな栗の産地です。猪名川や宝塚の西谷、三田などで収穫されます。 冬になるとお正月の料理にはかかせない黒豆の季節です。ほうれん草や自然薯なども美味しい季節を迎えます。
 このように、兵庫県では様々な農産物が生産されています。「伝統的な食文化の継承と新しい食文化の創造」が兵庫の「食育推進計画」の中に盛り込まれています。 みなさんも、地元でとれる農産物で地域の郷土料理を作ってみてはいかがでしょうか?

当院の治療空間の設備をご紹介
鼻からの内視鏡
 鼻から挿入する胃内視鏡をご存知ですか? 口からの内視鏡を受けられた人の中、舌のつけ根に触れることで、しばしば吐き気・嘔吐感を起こし、苦痛の大きな検査であると感じた方は多いと思います。 鼻からの内視鏡はスコープが舌のつけ根に触れないため、嘔吐感が起きにくいというのが患者さまにとって一番の大きなメリットです。個人差はありますが、 鼻からの内視鏡検査を受けられた方の多くが、今後も鼻からと希望されています。医師と相談し、選択肢の中に鼻からも考えてはいかがですか。  
[患者の権利]
患者様の人権を尊重し、患者様と病院・職員との相互の信頼関係に基づいた医療を共同して作りあげていくために、当院は「患者さんの権利と責務」を定めています。
1. ご自分の病気や診療のことで疑問があれば、どのようなことでも質問する権利があります。
2. 検査や治療を受けるときには、よく理解できる言葉で説明を受け、自らの意志でそれを選択・決定する権利があります。
3. 診療の過程で得られた個人情報やプライバシーは、守られる権利があります。
4. 良質な医療の提供を受けるため、患者様はご自分の健康に関する情報について、医師をはじめとする病院職員にできる限り正確に提供する責務があります。